2003年9月

特定非営利活動法人 せんだい・みやぎNPOセンターの
2002年度経過報告と、2003年度を展望する


■■2002年度経過報告■■


1.社会情勢「いよいよNPO展開期真っ只中」

 未曾有の不景気と労働人口の流動化が進み、社会構造が激変している。世間型・談合型のしくみが限界になり、情報公開と市民参加型のしくみに転換することが強く求められる時代になっている。社会的に一種の閉塞状況であることは変わらず、その中でNPOはかすかな希望のひとつである。
 私たちがせんだい・みやぎNPOセンターを設立して、まもなく6年になる。同時に、特定非営利活動促進法が施行されて、この12月で5年になる。この5年は、日本におけるNPOの創生期であり、基盤整備の時期であった。激動の数年間を、時代を共にしてセンターの設立と活動に尽力されてきた関係者の皆様に感謝を申し上げたい。
この間、全国のNPO法人認証数は、12,000団体を超え、宮城県の認証数も、180団体を超え、まだまだ増加が続いている。
 NPO法の一部改正が2003年4月、税制の一部改正が5月より行われた。シーズをはじめ、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会などと連携した粘り強い取り組みによって、一定程度の成果があがったと言えよう。しかし、まだまだ認定NPO法人の道は遠く、大部分のNPO法人にとって絵に描いた餅となっている。また、本年2月以来、官製の公益法人改革のとばっちりがNPO法人にも及びそうな動きが顕在化しており、私たちは民間公益セクターの成長と発展のための正しい方向性での公益法人改革に向けて、声をあげてきたところである。
 同時に、官による大幅なNPO支援の基盤整備がますます進行している。支援から協働へという流れは確実に加速しており、NPOへの委託事業の増加も著しいが、中には、協働やパートナーシップという言葉にもかかわらず、官主導民追従の事業もかなり散見される。
 その中で宮城県や仙台市においても、ここ数年間のNPO支援・促進策の総括と見直しが課題となる時期になっており、NPO政策そのものが、基盤整備時期から協働の実践と検証に移行していく時期となるだろう。

2.せんだい・みやぎNPOセンターの2002年度方針

 上記のような情勢認識のもと、私たち、せんだい・みやぎNPOセンターは、2002年度の活動方針を以下のように設定した。(以下、昨年の展望文書より引用)
 官設の支援センター、支援施設が増える中で、私たちはあくまで民間性にこだわり、官設の施設とは機能分担を行い、民間性を活かした事業展開の深化をめざすべきであると考える。まず、せんだい・みやぎNPOセンター本体は、全国・東北・宮城県全体を対象地域に、NPOセクター構築のための、提言性・先駆性・戦略性を重視した事業展開に重点を置き、活動する。そのため、昨年度に結成した「みやぎNPO支援センターネットワーク」の事業展開を強化し、本年度も県内5ヶ所を巡回して支援センターと地域のNPOの交流と研修事業を行う。また秋には、東北全域を対象とした「NPOパワーアップフォーラム」を日本NPOセンターと共催で開催することで、宮城県および東北地域のNPO支援に取り組む。また、サポート資源提供システムの本格運用や人財サポート事業、広報サポート事業などの重点事業によって、さまざまな資源とノウハウと人材の提供を行う。
 一方、仙台市より受託している仙台市市民活動サポートセンターは、4年目に入り着実にシステム整備が進み、仙台圏を中心的な対象とする地域密着型の支援センターとして、「地域に根ざしたシーズとニーズを結びつける、見えやすく使いやすいサービスの提供」と場づくりをめざす。具体的には、直接的に市民活動団体へのサービスを考えるだけでなく、さまざまなニーズを持つ市民とその問題を解決し得るNPOを結びつける場としてのサポートセンターへの拡充を考えている。その一端は、7月に実施した、サポートセンターまつり「市民活動カラフルフェスタ」の企画に盛り込んだ。
 また、当センター単独の事業展開から、他組織との協働型の事業展開を視野に入れ、今までの総合型(なんでも屋)支援センターから、重点事業型支援センターへの脱皮を図る。重点機能としては、アドボカシー(政策提言)機能、マネジメント支援機能、コンサルティング機能、資源仲介(インターミディアリ)機能に集中する。
 また、11月1日〜2日には、当センター設立5周年の記念事業として、記念フォーラムの開催とコンセプトブックの出版を予定している。これを単なるお祭りに終わらせることなく、次の5年へ向けた戦略策定のためのふりかえりと基礎づくりとしたい。


3.2002年度重点事業の実施状況と成果

  (1)NPO支援税制の改正、自治体のNPO政策への提言等の一層の強化

 NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会参加、緊急学習会、県会議員意見交換会などを重ねて、法改正と税制改正を実現した。

  (2)NPOの経営力向上のためのマネジメント支援

 広報戦略講座、ボランティアマネジメント講座、NPO法人化講座等、各種マネジメント講座、経営相談、法人化相談等の強化を通してのNPOの経営力向上支援を行ってきたが、特に「VOICE OF NPO プロジェクト」は、市民ライター、市民デザイナーというボランティア人材を外部で育成し、NPOとマッチングして、団体紹介パンフレットの共同制作を行うことによって、団体の広報力とボランティアマネジメント力の向上を狙った事業であり、大きな成果をもたらした。

  (3)民間による支援体制構築のためのネットワーキングの推進

 みやぎNPO支援センターネットワーク事業の事務局として、宮城県内のNPO支援センターと地域のNPOの協働を進めるための事業を行った。また、東北地方のNPO支援センター同士の連携を図るために、住友生命社会福祉事業団、日本NPOセンターの協力を得て、11月にNPOパワーアップフォーラムを開催、その中で東北地方のNPO支援センターの集まりを開催した。

  (4)NPOの情報発信支援体制強化

 NPO情報ライブラリー、広報・情報発信講座、IT関連支援などを通して、NPOの情報発信機能の強化を図った。NPO情報ライブラリーは、HPによる発信機能も確立し、登録団体数が70団体を超えて、サポート資源提供システムやみんみんファンドの利用と共に、次第にその価値が理解されるようになってきている。

  (5)企業とNPOとの連携推進の強化と資源仲介機能の充実

 サポート資源提供システムの本格運用と参加企業拡大や人財サポートプログラムによる企業人材のNPOへの参加促進を行った。サポート資源提供システムでは、本年2月より、地域貢献サポートファンドの設立のための準備作業に取り組み、7月には運用を開始、記念シンポジウムも開催した。

  (6)地域における新しい経済の活性化支援 コミュニティビジネス支援事業の継続

 仙台市産業振興事業団との連携によるコミュニティビジネス開発講座の開催等を通して、地域活性化に取り組んできたが、4月より自主研究会であるコミュニティビジネス研究会も動き出し、少しずつ理論的検討と事例研究、それに関係者のネットワークをつくっているところである。

  (7)仙台市市民活動サポートセンターのサポート機能の充実

 仙台圏を中心的な対象とする地域密着型の支援センターとして、「地域に根ざしたシーズとニーズを結びつける、見えやすく使いやすいサービスの提供」と場づくりをめざすことを目標に、取り組んできた。「市民活動カラフルフェスタ」では、市民活動団体との協働企画の実現やボランティア大相談会の成功など、市民活動団体への支援に結びつく企画やさまざまなニーズを抱えた市民に役に立つ企画を実現している。

  (8)5周年記念事業の推進 記念フォーラム+コンセプトブック出版

 11月1日〜2日にかけて、5周年記念フォーラムを開催した。同時に、コンセプトブックの出版を行って、5年間の歩みを総括した。




■■2003年度を展望する■■


1.社会情勢/展開期・成熟期のNPOへ

 さまざまな社会的課題の多様化と深刻化が進行する中で、NPOへの期待はますます増加している。その中で、地域間格差、自治体間格差の増大や失業率のアップが進行し、行革の推進と共に、NPOへのアウトソーシングの拡大と下請け化が進行することが懸念される。そんな中でNPOによる政策提案能力の向上を前提としたアドボカシー機能の重要性が増大する。また、官民の対等性を保ち、市民提案を政策立案に結びつける「協働のコーディネーター」的役割の人や組織の必要性、重要性が増すであろう。
 昨年度から当センターの受託事業には、市民参加型公共事業のコーディネート業務が増えている。ワークショップによる市民参加の手法を用い、さまざまな形で市民の意見を事業に反映するしくみが地域には求められており、中間支援組織である当センターの持つ専門性、中立性、市民性などに、今後も高い需要があるものと思われる。センターの持つ人材育成に努め、このニーズに積極的に対応していくことが必要であると思われる。
 さらには、失業者の増大、労働環境の不安定化など、雇用促進とコミュニティビジネス等による地域活性化への期待も膨らんでいる。
 NPO自身の情報公開や発信の力量アップも喫緊の課題であり、それに対する当センターの支援システムの維持とグレードアップも重要度を増すであろう。

2.せんだい・みやぎNPOセンター基本方針

 さて、2002年度を総括し、2003年度に進むためには、もうひとつ大事なことがある。2002年度収支決算書を見てもらえばわかるが、収入合計で予算を800万円も超過しながら、収支差額が昨年との約2000万円(前受金等約1500万円含む)に対して、大幅減の約600万円(ほとんどが前受金等)になり、貸借対照表上の正味財産が大幅に減少している(約500万円の減)ことである。つまり、昨年度の事業を行った結果、さまざまな成果をもたらすことは出来たが、資金の面では、年間500万円ほどの持ち出しであった、ということになる。
 その原因としては、当センターの事業構造から分析する必要がある。当センターの事業は、収入構造の面から大きくは以下4つのようになっている。
  1)組織運営関連
 総会、理事会、評議員会、会計や労務や税務、会員管理、ニューズレターやHPの運用など、NPO法人として、そして人を雇っている組織として必要な業務が含まれる。組織が一定の大きさになると、意外に大きな負担がかかるものであり、これらの業務にも多大な人件費や経費がかかっているが、収入源としては、会員からの会費収入が主なものであり、仙台市市民活動サポートセンターの管理・運営受託費や他の受託事業の収益の一部がここに充当されている。
  2)仙台市市民活動サポートセンターの管理・運営受託事業
 当初の2年間を除けば、3年目に受託金額の改定もあり、4年目の昨年は、常勤9人、非常勤4人、センター長1人という、今までにない充実した体制で業務を行うことが出来た。そのため直接人件費も増加したと共に、全体の業務量が著しく増加しているため、組織管理と会計等の管理業務も増大している。現在では、直接人件費としての受託費用の中から、管理費用を捻出するという状態が続いており、さらなる改定が望まれる。
  3)各種受託事業
 自治体からのさまざまな委託事業であるが、ノウハウの蓄積などもあり、徐々に複数のスタッフが事業にあたる体制ができつつある。しかし、この受託金額が減少すると、その収益によって、人件費の不足を賄うことが難しくなる。昨年度赤字の原因のひとつは、受託事業総額の減少にある。
  4−1)若干の収入が見込まれる自主事業
 自主事業であるが、参加費をいただくマネジメント講座や経営相談、「VOICE OF NPO PROJECT」のような人件費つきの助成事業やサポート資源提供システムのような、協賛金や手数料収入が見込まれる事業である。人件費の全額がカバーできているわけではないが、将来成長することでカバーできるようになる可能性があるものもある。
  4−2)一定の経費は助成金で賄っているが、人件費は持ち出しの自主事業
 「人財サポートシステムの構築」「みやぎNPO支援センターネットワーク事業」など一般的な助成金事業である。当センターとしては、主に重点開発事業に用いてきた。この比重が大きくなると、資金的に苦しくなる。
  4−3)経費も人件費もほとんど賄えていないが、実施している自主事業
NPO情報ライブラリーやアドボカシー関連事業など、当センターの重要な基幹事業であり、持ち出しでも維持すべきとの判断をした事業である。


 昨年度は、これらの事業のうち、2)各種受託事業が大幅に減少したにもかかわらず、4−1)若干の収入が見込まれる自主事業、4−2)一定の経費は助成金で賄っているが、人件費は持ち出しの自主事業、4−3)経費も人件費もほとんど賄えていないが、実施している自主事業の自主事業のボリュームが非常に高い事業構造だったことが、収支の悪化を招いたものである。


 これは、昨年の事業計画と予算を決定した時、一定程度は予測されたものであるが、今年度も同様の傾向が続くと、資金繰りなどに支障をきたすことになり、早急な対策が必要である。


 そのため、緊急に次のように対策を講じたい。
1)本年度もより一層の緊縮財政をとり、経費の節約に努める。

2)事業構造と収支の分析を定期的に行い、理事会、事務局会議などで情報と戦略の共有を図り、問題解決に取り組む体制をつくる。

3)抜本的には、重点開発事業をスリム化し(外部との連携による事業化等)、自主事業の収入構造を改善する方向で努力する(サポート資源提供システムの協賛企業獲得やNPO情報ライブラリー利用団体の会員化等)。センター中心で取り組んできた自主事業を他の主体との連携によって展開できるようにすることも含まれる。

4)同時に、協働のコーディネーターなど、自治体からの受託事業の開発を行い、収益があって、かつ本来のミッションに添った事業を獲得する。とくに、複数のスタッフがそれらの業務で活躍できるように人材の育成を心がける。

5)今年から来年にかけて、より効率的な人事配置を検討し、実践する。
以上の判断をベースに、以下の重点事業を積極的に行っていく。




2003年度(平成15年度)重点事業・担当者・資金源リスト


1.サポート資源提供システム関連  [自主財源/企業協賛/共同募金]

担当理事/大滝、川村、針生、横山、八木、木村
責任理事/加藤
運営委員会等/遠藤
物品仲介等/青木
PC仲介等/遠藤
ファンド等/紅邑 
アドバイザー/高田

 サポート資源提供システム全体は、当センターの中核事業、地域貢献ファンド設立は平成15年度の重点開発事業と位置付ける。地域貢献活動相談センター(担当/加藤)による相談日開催と共同募金からの資金提供によるNPOと企業の連携についての県内巡回フォーラム開催(担当/遠藤)を活用する。


2.せんだいCARES関連     [日本財団/自主財源]

担当理事/針生、横山
責任理事/紅邑
プロジェクトマネージャー/門間
スタッフ/工藤

 平成14年度のVOICE OF NPO PROJECT(担当/門間) と人財サポートプロジェクト(担当/遠藤)およびサポート資源提供システムでの企業とのネットワークを活かして、大きなキャンペーンを平成15年度の重点開発事業と位置付けて、総力を結集して組織する。


3.コミュニティビジネス開発関連    [自主財源/仙台市産業振興事業団]

担当理事/川村、山田
CB講座責任理事/加藤
CB実践研究会担当理事/紅邑
プロジェクトマネージャー/遠藤


 市民起業家スクールおよびコミュニティビジネス開発講座の実績を踏まえ、成果のでる実践的な講座を開催しつつ、実践研究会の継続によって、理論化と成功要因の分析を積み重ね、次年度以降の企画と提案に結びつける。中核事業。サポセンの起業講座とも連携。


4.アドボカシー関連   [トヨタ財団/自主事業]

担当理事/新川、黒澤、加藤
責任理事/紅邑
特別研究員/高田

 従来からの法制度部会の活動(NPOの法制度関連と宮城県議会懇談会等)は、紅邑、黒澤、高田で継続して行う。その経験を活かして、神奈川県のまちづくり情報センターかながわ(アリスセンター)、兵庫県の市民活動センター神戸の両支援センターとの共同研究プロジェクト「NPOの政策提案力開発とNPOの参画を保障する自治体の政策形成システムの提案」(トヨタ財団助成)を3年計画で実施する。本事業を重点開発事業と位置付ける。


5.仙台市市民活動サポートセンター関連   [仙台市受託事業]

責任理事/加藤、紅邑
センター長/青木
副センター長/松尾
スタッフ/常勤9、非常勤4

 開館5年目に入る今年は、施設管理、ソフトメニューの充実から、頼りになるスタッフ、他所で通用するスタッフへの成長をテーマに、不断のチャレンジを行う。青木センター長、松尾副センター長体制を万全のものとする。カラフルフェスタ、人材育成、起業講座については、少数スタッフ体制で効率的な事業運営管理に臨む。


6.みやぎNPO支援センターネットワーク関連    [共同募金]

責任理事/紅邑
担当理事/加藤、木村
プロジェクトマネージャー/工藤
アドバイザリースタッフ/遠藤

 2年続けた支援センターネットワーク事業だが、成果と同時に限界も見えてきた。石巻、古川の両センターが、市の委託で職員を継続雇用する体制になって、サポートセンターとの共通課題も見えてきたところで、スタッフ教育に焦点を当てた事業を、共同募金の助成金を原資に行いたい。また、NPOと企業の連携の巡回フォーラムも連動させて、宮城県内支援センターの力量アップと東北の支援センターとのネットワーキングに努めたい。




せんだい・みやぎNPOセンターの2003年度事業構造図




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