2004年度に向けた総会のための覚書


特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター



1.前提となる社会環境と私たちのミッション

 NPO法人は、2004年6月末現在で、17,425団体が認証されている(申請数は19,025団体)。それに伴い、NPOの社会的認知は高まり、多くの自治体が支援や協働を政策に掲げるようになってきている。企業セクターからの理解も、CSR(企業の社会的責任)及びSRI(社会的責任投資)の高まりと共に、徐々に広がっている。NPOに対する社会的期待はますます高まっていると言えよう。
 しかし、NPOの存在が認知されることと、その活動や事業が人々の暮らしや社会運営にとって有用な価値を創造しているかどうかということは違うことであり、今後は、その価値を創造し、どのように伝え、どう市民社会構築に寄与していくかがますます問われてくると思われる。

 現象面では、今後NPOを取り巻く環境には、さまざまな問題が発生することが予測される。
1)NPO法人制度の悪用
 悪質なNPO法人が増えることにより、被害を受ける人たちも増え、行政がもっと取り締まれという声が大きくなるだろう。何よりNPOの信頼性が大きく損なわれる可能性がある。
2)行政に依存する体質
 確実に行政のアウトソーシングが進み、NPOは重要な役割を担うようになっていくだろう。しかし、その分、行政の支配下におかれるNPOが増えるだろう。
3)NPOと企業との競合
 寄付や助成金など民間資金の開発が遅れ、行政資金も財政難で限界が見えてくると、多くの活動団体は自主事業の展開に進むだろう。NPOが企業の領域を侵す場合やNPOが開発したものに企業が参入する場合など、競合が進むだろう。
4)マネジメント力不足が顕在化
 法人あるいは任意団体として活動していても、自らの存在を社会的に説明し、人々の自発的な意思を結集して公益的な活動を生み出していくマネジメント力の不足する団体が増加するだろう。
 これらの課題に積極的に取り組むことが、中間支援組織としてのせんだい・みやぎNPOセンターには求められる。中でも、NPOの信用の創造、経営資源の調達支援、経営能力支援(マネジメント支援)がますます求められている。

 また特に、「正しい協働を、どう伝え、どう育てるか?」(IIHOE川北秀人氏メッセージ)という、協働の原則や方法だけではなく実務レベルの研究や相談対応体制の構築と情報発信が必要である。また、NPOの情報公開を促進し、NPOの信用を創造することも重要な任務である。
  註:川北氏のメッセージは、評議員会にあたっていただいたものです。
 中間支援組織のミッションは、基本的には不変のものであり、
   支援活動
     1)経営資源の調達支援
     2)人材育成支援(マネジメント支援)
     3)組織連携・協働支援
   基盤整備・アドボカシー活動
     4)市民活動促進基盤の整備
を軸に、「中間」のポジション、「支援」の内容と方法、「組織」の構成と文化を絶えず見直しながら、第一の顧客であるNPO・市民活動団体と第二の顧客である支援者群のそれぞれにとってのより良い価値を生み出していくことにあると私たちは考えている。当センターも、その基本軸を守りながら、ミッション実現に向けて行動していきたい。


2.東北・宮城における状況の変化と私たちの対応

 今年の11月で、せんだい・みやぎNPOセンターは設立7周年になる。この6月には仙台市市民活動サポートセンターが開設5周年を迎えた。私たちは、この仙台・宮城の地において、NPO支援の旗を真っ先に掲げ、行政、企業とのパートナーシップを進め、支援組織として大きな成果を上げ、役割を果たしてきたと自負している。
 一方、県内のNPO法人数は、2004年6月末現在で、260団体を数えるまでになった(申請数284団体)。また、古川市および石巻市、気仙沼市、白石市のNPO支援施設も整備され、宮城県の中核施設と位置付けられたみやぎNPOプラザも、この4月から情報と施設管理の両方を、特定非営利活動法人杜の伝言版ゆるるが受託することとなった。その結果、競合と協働を意識しながら、差別化、重点化を考える事業展開が課題となる。

 また、この3年間、日本財団の助成および共同募金会の配分金を確保して、県内5つの民間支援センターの支援力向上のために、研修プログラムを共同で実施してきたが、古川市の支援施設を管理していた特定非営利活動法人パートナーシップ古川で理事長による資金流用事件が発覚し、理事長解任・除名、事務局長辞任の事態があった。そのため古川市ではこの8月から支援施設を市直轄で運営することになった。支援センターの信頼を損なう大変に残念な事態であった。また、特定非営利活動法人気仙沼まちづくりセンターも、スローフードのまちづくりに取り組むなど、まちづくり組織としての活躍が増え、一方で気仙沼市がこの4月から「気仙沼市民活動支援センター」を官設官営で開設、直接支援に乗り出したことなど、県内の支援組織事情が大きく変化した。
 そのため当センターとしては、NPOプラザなどを通して、官民を問わない県内の支援施設とその管理者の、情報交換や交流に資するゆるやかなネットワークを形成する方向で、提案を進めている。

 さらには、東北各地の自治体や支援センター、それに個別課題に取り組むNPOからの相談なども増加している。そのためより効果的な情報提供や協力関係の構築のために、広報と情報交換活動の強化を行っていきたい。特に、実施予定の地球市民大学校のNPOマネジメント講座、協働コーディネーター養成講座は、東北・北海道を対象とするので、この機会に東北各地の環境系NPOとの連携も図りたい。


3.収入構造変革

 ここ数年、中核的自主事業の構築に全力を注いできた。その成果がようやく形になりつつあるのが昨年度の状況である。
 経済的には、事業経費を稼げるか稼げないかを問わず、全力で戦略的に必要な事業を展開してきたため、財政事情は相変わらず自転車操業的であるが、一昨年度の大幅赤字状態からは、ある程度の改善が見られ安定してきた。これからは、柱となる事業を特定し、重点強化することでスタッフの余力をつくり、次のステップへの準備を模索する時期に入ったと考えている。その前提としての、稼げるスタッフ化は一定程度成功しており、人材をより活かす仕事の展開を目指したい。
 その上で、「受託事業や講師派遣で稼ぎ、中核的ミッション事業に投資する」という事業構造から、「多様な関係者が中核的ミッション事業を支える構造へ」と転換することも必要となっている。
 また、かねてより計画していたインターンシッププログラムは、市民社会創造ファンドの協力を得て大学生2人を1年間受け入れることになった。


4.重点事業

  (1)サポート資源提供システムとみんみんファンド

 サポート資源提供システムは、順調に3年目の運営が行われた。物品およびPCの提供(宮城県情報サービス産業協会と連携)は順調に推移しており、今後も継続して運用にあたる。
 一方、2003年7月には、ファンドとしての顔を社会に見えやすくすることをねらいとして「地域貢献サポートファンドみんみん(みんみんファンド)」を設立した。その結果、多様な市民、企業からの資金提供があり、基金としての初年度としては好調なスタートを切ることができた。また、みんみんファンド設立の結果、宮城県からの「みやぎNPO夢ファンド」の冠ファンドとしての受け入れ打診があり、運営委員会と理事会で検討した結果、受け入れを決定、2004年1月よりシステムの整備と第一期助成金募集に取り組んだ。

 宮城県の参加によって、冠ファンドは、以下の3つになった。
  (1)ふくふくファンド(宮城労福協社会貢献活動基金)
      (設置者:宮城県労働者福祉協議会  2003年度〜)
  (2)ろうきん地域貢献ファンド
      (設置者:東北労働金庫宮城県本部 2003年度〜)
  (3)みやぎNPO夢ファンド
      (設置者:宮城県 2004年度〜)
 その他の資金提供も広がりつつあり、広報活動に力をいれることで、順調に行けば、年間1000万円程度の資金を運用するコミュニティ基金となることが可能になる。
 従って今後もセンターの中核事業として成長させたいが、まだまだ運用費の確保が大きな課題である。

  (2)せんだいCARES2004

 昨年11月に第1回のキャンペーンを成功させた「せんだいCARES」を今年度も実施するが、資金調達の課題もあり、今年度は、実行委員会形式で、サポート資源提供システムやみんみんファンドの協力企業・団体との連動で取り組んでいる。このキャンペーンを、企業人の個人参加も包含する実行委員会方式など、多様な参加を可能とする運営によって、仙台名物の市民活動のキャンペーンに育て上げたい。
 その上で、幅広い企業人・市民の活動参加の入り口として運営し、サポート資源提供システム&みんみんファンドへ段階的につなぐ道筋を確立することが、今期の目標である。

  (3)マネジメント講座関連事業の強化

 このところ仙台市以外の地域でのNPO法人設立が増加している。しかし当センターではここ数年県内の地域を回っての本格的なマネジメント講座は企画できなかった。そのため新しい団体のニーズにきめ細かく対応するには至っていなかった。そのような中、2004年度、宮城県がNPOマネジメント研修の予算を組み、企画実施団体を公募したので、応募し受託することができた。この講座は、白石市、石巻市、古川市の3市での開催となるが、あわせて仙台市市民活動サポートセンターの人材育成事業や市民起業家講座、仙台市産業振興事業団のコミュニティビジネス開発講座、地球環境基金の地球市民大学校のマネジメント講座、協働コーディネーター養成講座など、いくつかの講座の実施が予定されているので、これらの機会を活用して今年度は集中的にNPOの経営力向上に焦点を当てて貢献していきたい。

  (4)仙台市市民活動サポートセンター

 当センターで管理・運営を受託してきた仙台市市民活動サポートセンターは、2004年6月30日で5周年を迎えた。カウントされた利用者数は、7月末現在で20万人を越え、利用団体情報のデータベースには約4000団体がファイルされている。全国的にも注目される施設として、ニーズから新しいサービスを構築していく手法や利用者とのコミュニケーション、市民まちづくりライブラリーなど、「公共施設管理・運営の革新モデル」を創造してきた。現在、その成果の他施設への波及やNPOとの戦略的な協働推進などを全市的なものとすべく、市と協働で取り組んでいる状況である。
 また、2004年4月1日より、仙台市との契約が、業務委託から指定管理者制度に移行した。今年5年目を迎えた職員を中心に、5人が巣立ち、新人5人の体制で新年度を迎えた。これらを契機として、通常業務の安定的遂行はいうまでもなく、サポートセンタースタッフが当センター本体の業務にさまざまな形で積極的に関れる体制を構築することによって、スタッフの研修や能力向上、自己実現支援を目指し、サポートセンターの業務遂行にも寄与するよう考えていく。
 また、サポートセンターの事業でも、NPO基礎講座や法人化講座など、スタッフによる小講座や相談能力向上に向け取り組みを強化したいと考えている。さらに施設ボランティア導入の試行も検討する。
 支援室との連携に関しても、仙台市の「市民協働」に関する提言的働きかけを通して、仙台市の協働推進環境を向上させるべく努力し強化を図る。協働の手引き作成や施設職員研修、市職員研修などの成果を発信していく。
  

  (5)アドボカシー(政策提案活動)

 公益法人改革やNPO支援税制など、NPOに関わる国の制度については、従来から取り組んできたが、これからは地域のNPOや市民に共通する自治体の政策について、関係するNPOと共にワーキンググループをつくって政策提案に取り組んでいく手法を開発していきたい。特に、宮城県のNPO促進の基本計画は見直しや、仙台市の各種施設が指定管理者制度に移行するため指定管理者の公募が開始されており、その運営やサービスについて、もっと市民やNPOが関心を持ち、提案していく必要性がある。連続講座も活用して取り組んでいきたい。

(以上)



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