1998年10月26日

宮城県議会NPO活動促進検討委員会委員 各位

せんだい・みやぎNPOセンター
代表理事 加藤哲夫 
〃   山田晴義 
〃   横須賀和江

みやぎのNPO条例を市民で考える会
世話人 黒澤学

市民からの政策提案書※1

  宮城県における
    「市民活動の促進に関する条例」(略称宮城県NPO促進条例)
についての私たちの考え方

はじめに

 私たちは、宮城県内における市民活動の促進に関して、宮城県において、その促進施策を具体的に定め、着実に実行することが、火急であると感じています。
 そうした観点から私たちは、宮城県NPO促進条例に求められ、重要と考えられるポイントについて検討してきました。もちろんこの条例については、宮城県議会を始め諸方面で議論されている重要な問題であります。
 だからこそ、市民、市民団体も、知恵を絞ることが求められていると考えました。そこで、条例に必要と思われる内容を検討し、このような骨格を考え、これを提案することにした次第です。
条例の骨格
 1.条例の考え方、その意義と目的
 2.NPO活動促進の原則と宮城県の責務
 3.NPO活動の定義
 4.NPO活動促進計画の策定
 5.宮城県NPO活動促進協議会の設置
 6.宮城県NPO情報・活動促進センターの設置
 7.中間支援機能の充実と中間支援団体の活動促進
 8.市町村におけるNPO支援への協力
 9.税財政上の優遇措置と活動促進基金の設立
   (1)税制上の優遇措置
   (2)NPOへの財政支援
10.県の事務事業運営上の配慮義務
11.NPO法人格取得者以外の市民活動促進への配慮

※1 旧来、この手の文章を「要望書」として扱うらしいのですが、我々の行動は市民の正統な行為としての政策提案(市民からの政策提案)と考えます。


1.条例の考え方、その意義と目的

 特定非営利活動促進法の制定が示したように、市民活動団体(以下NPOという)の役割は、私たちの社会において、ますます重要になってきていると考えられています。このNPOの活動促進は、広い意味でこれからの地域づくりを考える上で、必要不可欠のものといってよいでしょう。
 成熟社会における多様な価値観の実現と、諸資源の限界に対応できる地域社会の形成は、その市民の自発的な活動に依拠しなければ、未来を切り開き、希望を実現する展望を持つことはできない、と言ってもよいと思われます。
 もちろん、NPO活動の促進は、本来は市民セクターによって自発的に展開されることが望ましいのかもしれません。行政や政治が積極的に関わるべき問題ではないという見解も確かにあります。
 しかしながら、現時点における日本の地域社会においては、そうした市民の自発的活動を積極的に展開できるような条件が十分に整っているとは言い難いのが現実です。
 こうした考え方から、ボランティア活動やまちづくり活動、福祉、教育や環境問題など様々な分野で活躍するNPOを積極的に支え、その活動を促進することは、今、大変重要な課題といえるのです。
 そのため、総合的にNPO活動の促進を図ることを目的として、宮城県においてもNPO促進条例(以下、条例という)を制定することが強く望まれているのではないでしょうか。

2.NPO活動促進の原則と宮城県の責務

 NPO活動促進は本来は市民の自主性にゆだねられるべきことがらでしょうから、宮城県が行政として関与すべき分野は限られているはずです。とはいえ、県がその役割を果たすことは、始まったばかりのNPO活動にとってきわめて大きく、また現に活動を続けてきている団体にとっても心強いものとなることはいうまでもありません。県は、それに相応しい責務を負うべきものといわなければなりません。
 宮城県は、このNPO活動の促進を図るため、活動促進のための施策を定め、着実に進めることを、自らの責務と考えなければならないはずです。
 もちろん、それと同時に、宮城県は、この活動促進に当たり、市民セクターの発展を促し支えるという観点から、市民活動の自主性・自立性を最大限尊重するという原則を貫くべきです。
 また促進に当たっては、直接的な支援ではなくいわゆる中間支援・間接支援の施策に重きを置くことも重要な原則と考えています。

3.NPO活動の定義

 NPOには様々な形のものがあります。また組織化されず個人としてボランタリーに活動を続けている市民も数多くいます。こうした多様な市民と市民団体の存在こそが、NPOの本質的な強みだと考えています。
 このように考えてくると、NPO活動は、民間非営利の活動を行う場合には、個人であれ団体であれ、法人格を持っていようともっているまいと、その本質に違いはないはずです。
 したがいましてこの条例で促進するべきNPOとその活動とは、特定非営利活動促進法が定める法人格の取得団体のみならず、広く県民各層による民間非営利の活動を対象と考えるべきだと思います。

4.NPO活動促進計画の策定

 宮城県によるNPO活動促進にあたっては、県政全体を横断的にとらえる視点、未来を見通した将来思考の視点、県民生活を中心に考える視点が、必要だと考えています。そうした総合的かつ計画的な観点から、NPO活動促進は進められなければなりません。宮城県は、こうした条件を満たすNPO活動促進策を策定し、実施していかなければならない立場にあるといえるでしょう。
 そのため、宮城県は、NPO活動を促進するための施策の基本となる「NPO活動促進計画」を定め、総合的かつ計画的にその活動促進を図ることが重要だと思います。
 この計画には、促進の考え方やそのための施策の方向、実現のために必要とされる手段や措置を定めることにします。
 また、この計画は、宮城県のNPO活動促進のための具体的な行動計画としても位置づけられるべきです。
 加えて、この計画の立案および実施に当たっては、県民各層の視点を生かすため、市民団体が中心となって構成する宮城県NPO活動促進協議会(仮称)の意見を聞いて、これを行うようにしなければならないと思います。

5.宮城県NPO活動促進協議会の設置

 宮城県がNPO活動の促進をしようとするに当たっては、県民各層、とりわけ実際に活動をしていたり、活動しようとしている市民の声に従っていく必要があることは、もっともなことといえるでしょう。また、そうした県民各層の声を客観的に表明する第3者機関は、やはりどうしても必要です。
 そこで、宮城県に市民参加型のNPO活動促進のための協議機関を設ける必要があります。
 具体的には、宮城県は、NPO活動の促進を図るため、県民総参加による「宮城県NPO活動促進協議会」(以下、協議会と略称)を設置し、その意見を聞いて促進施策の基本となる計画を定めると共に、その他関連する施策の策定と実施に当たってその意見を聞くこととします。
 この協議会は、NPO団体、県民代表、有識者、県議会、県によって構成されるものとし、協議会メンバーの過半数は、民間非営利活動に携わっている方々とするべきでしょう。
 なお、この協議会は、宮城県NPO情報・活動促進センターに事務局を置くこととします。

6.宮城県NPO情報・活動促進センターの設置

 宮城県内には、様々なNPO活動が展開され、その基盤整備が進みつつあるわけですが、ややもすればそれらは大都市に集中する傾向があります。そして、県内全域にわたってNPO活動促進が図られる共通の基盤があるとは言いにくいのです。
 そこで、県内各地にNPO活動促進に関する機能を分散配置することによって、全県的にNPO活動促進をしていくこととする必要があります。
 そのため宮城県は、NPO活動を促進するためのNPO情報・活動促進センター(以下、センターと略称)を設置することとします。
 センターは、NPOに関する情報を収集し、一般に公開すること、NPO法人格取得に関する情報その他関係情報の提供を行います。また、活動支援のため必要な施設その他のサービスを提供することになります。
 センターは宮城県がこれを設置し、その運営にあたっては、協議会の意見を聞いて、NPOと協力して運営に当たることとします。実際の運営はNPOや市民活動を行っている市民に委託しながら進めることも大事です。そうすることで、市民活動中心のセンター運営が実現できると考えています。
 また、センターは、地方県事務所管内にそれぞれ設置するものとします。こうすることで、県内各地でNPO活動促進が円滑に進むものと考えます。
 なお、将来的には、このセンターは、NPOの成長を待って、NPO中心の運営に移行することが当然と考えています。そしてそれは、各地のセンターにおいても同様でなければなりません。県内各地で市民活動を支援する多くのNPOが活躍し、このセンターを各地でNPOが運営していく姿を、できるだけ早く実現していかなければならないと考えています。

7.中間支援機能の充実と中間支援団体の活動促進

 NPO活動の促進には、NPO団体への資金援助、人的物的支援、経営方策や組織管理の技術支援、財務会計情報、その他活動に関する情報支援など、様々な支援が必要であり、そうした支援機能の充実が求められています。
 またそうしたNPO支援の活動を進めるいわゆる中間支援団体の活動活性化を図っていくことも重要な課題です。
 この中間支援機能は、もちろんセンターにおいてその役割の一部が果たされるわけですが、それと共に、宮城県は、民間の中間支援団体の育成に、積極的に努力するべきではないでしょうか。

8.市町村におけるNPO支援への協力

 市町村は、もっとも身近な地方自治体であって、市民活動ともっとも密接な関係を持つ機会が多いといえます。ですから、市町村によるNPO活動促進は、地域に根ざした市民活動促進の観点からも、大変重要です。しかし現実には市町村ごとに認識の差があり、また市町村には規模などの格差もあって、必要な技術や情報、人員、財源に欠ける場合もある。
 そのため、宮城県は市町村によるNPO活動促進に協力し、そのために必要な方策を用意しなければなりません。
 第1には、宮城県は、NPO活動促進に関し市町村への積極的な情報提供に努めることが求められています。
 第2には、法人格取得状況、法人の活動状況情報などを、市町村において閲覧できるよう努めることが大切です。
 第3には、宮城県は、市町村のNPO活動促進に関して、市町村が必要とする場合には、財政上の援助をしていくことが求められます。

9.税財政上の優遇措置と活動促進基金の設立

(1)税制上の優遇措置

 NPO活動にとって、税制上の優遇は、その活動の基礎を固める上で、重要な条件となります。また、NPO法人格を取得しようとする動機付けという点では、税制上の優遇は、最低限度の条件となるでしょう。
 とりわけ、地方公共団体による住民税は、法人住民一般に対して付加されることから、運用次第では、市民の意欲をそぎ、NPO法人格取得の障害にもなりかねません。そのため少なくとも、人格なき社団が享受する程度の優遇を制度上保障することが必須となります。
 そこで宮城県では、NPO法人の活動促進のため、税財政上の優遇措置をとることとします。
 そのため、まず、県税減免条例による、NPO法人の住民税減免措置をとることとします。その場合、原則として均等割り部分を免除し、所得割部分については軽減税率を適用することとします。
 また、減免対象法人について裁量の範囲をできるだけ明確にし、「収益事業を行うものを除く」とある例外規定を、「本来事業以外の収益事業を行うものを除く」とすることで、より客観的で合理的な制度運営ができるのではないでしょうか。
 また、事業税、不動産取得税、自動車税、自動車取得税については、条例の定めるところにより、その減免措置をとることとします。
 なお、公共施設等の使用料手数料及び負担金等も市民活動にとっては大きな障害になる場合があり、あわせてその減免措置をとることにします。
(2)NPOへの財政支援

 NPO活動にとって、財政的基盤の確立はもっとも大きな関心をよぶところです。しっかりした財政基盤を持っていることで、より活発なNPO活動が期待できるのです。
 財政支援に当たっては、直接的な財源資金の供給も考えられますが、間接支援を中心とするという原則に従い、基金を設けて支援を進めることが望ましいと考えています。
 宮城県は、NPO活動促進のため、「宮城県NPO活動促進基金(以下、基金という)」を設け、NPO活動の促進のため、助成を行うこととするべきです。基金の設置には民間企業等の参加を得ることも大切です。
 基金の運用にあたっては、民間有識者による運営委員会を設置すること、運営方針については協議会への諮問を経ることとします。
 また、将来はこの基金の運営をNPOに任せることを考えるべきだと思われます。

10.県の事務事業運営上の配慮義務

 宮城県は、県政運営上、NPO活動とのパートナーシップに配慮し、NPO法人への業務委託や、その他NPO活動促進に資するような事務事業の運営に努めることとします。

11.NPO法人格取得者以外の市民活動促進への配慮

 NPO活動促進に当たっては、条例の対象として、法が定める法人格取得団体のみならず、広く市民活動を行うものをすべて対象としています。しかしながら、現実には、ややもすれば法人格取得団体に支援が集中する可能性があることは、否定できないようです。とはいえ、現実の必要からいえば、法人格を持たない活動にこそ支援が求められているのです。
 そこで宮城県は、NPO活動促進のための施策を行うに当たって、法人格を取得していない市民活動に関しても、法人格取得団体と同じように、その活動促進に最大限の努力をする必要があります。
 そのため本条例においては、法人格を持たない市民活動への配慮を、宮城県に義務づけることとしなければなりません。


(以上)



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